akkoのここだけの噺

気づきや想いを徒然なるままに

今週末、以下の講座を受講したので、聴いた内容をまとめてみる。
資料は無断転載できないので、自分が聞き取ったもののメモとなるのでわかりにくいところもあると思うが、ご了承のほど。

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尾川丈一と学ぶキャリコンのためのミニMBA シリーズ プレ講座
エドガー・シャイン先生の「経営心理学」 第1回

2022/1/15、16

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「組織心理学」とは何かの前に、対比される「産業心理学」について
まず考えてみる。
産業心理学」の捉え方の中では、一方的な規制や環境条件など
により一人の個人の生産性を検証するもので、これに適応できない人
に対してそこで何とかしようとする修理・治療モデルの一つがキャリア
カウンセリングといえる。
これに対し「組織心理学」は、変化する外部環境と、そこに所属する
人たちの人間関係という内部環境との相互作用をみるもので、これに
適応しない場合は、転職やヘッドハンティングなど発達モデルである
キャリアトランジッションで対応することになる。

1924-1932年に実施されたホーソン実験があるが、マニュアル化し
外部環境を変えることで生産性が上がるのではないかとされていたそれ
までの考え方を大きく覆す結果となった。他とは違う実施内容となった
グループでの「特別視されたという噂話」がメンバーのモチベーションを
高め、生産性の向上につながったのだ。つまり、外的要因や職場環境で
はなく、人間関係が労働生産性に影響するという結果が導き出された。
この実験を境に、いかに効率的に被雇用者を管理するかから、人間
関係に焦点を置き、働く人の感情に配慮する管理方法がとられるよう
になった。生産性を上げようとするとき、単に環境を整えるだけではなく、
人間関係を改善することが必要なのだ。

ここで、組織心理学の観点について考えてみる。
被雇用者は、企業に対し「帰属感」を求め、雇用者は賃金を払うことで
経営管理」しようとし、支配・服従の関係性が生まれている。これは、
コンプリメンタリー(補完する)の関係である。これが外的経済的環境に
よる1つ目の非対称である。だが、被雇用者も雇用者も家に帰れば、
消費者となり、生産者からコントロールされる立場になる。思い出の場所
だからとか、その土地ならではとかのものを食べようと少し高くても購入
行動が起こるが、そういう選択肢も狭められたり、内容量の少ない商品を
買わされたりすることがあるのだ。これが外的社会的環境による2つ目の
非対称である。この2つの非対称を包括する複合的な観点で組織心理学は
考える必要がある。他律的ではなく、主体的なキャリア形成をするには、
日常生活で主体的な選択をするような行動をとることで、企業内でも主体
的に選択できるようになるかもしれない。自分で決めているつもりがコン
トロールされているのではないかという視点を持つことが大切である。

では、組織心理学はどのように発達してきたのだろうか。
外部環境が「不変」であるとされてきたときは、「評価と選抜」という
方法をとられてきた。賃金や労働条件などの外発的動機づけを変えること
で管理コントロールしようとしてきたのだ。
だが、外的環境は「変化」するものである。これに対応するためには、
内発的動機づけとなるキャリアアンカーが、組織が求めるものと一致して
いるかを考える必要がある。自分が良いと思っているものを他人がどう思
っているかという視点が必要になる。学校などでは自己実現という視点で
よいかもしれないが企業では、他己実現も必要となる。キャリアアンカー
と社風などとのマッチングがなさそうな場合、転職すればカンタンだが、
そうもいかない場合は、諦めないで作戦を考えるという手法も必要になっ
てくる。
キャリアコンサルタントが企業で活躍するには、経営者と対等に話すため
にある程度の法律(商法、民法、労働法等)の知識と、真実を曲げない
真実義務と誠実に対応するという誠実義務が必要となる。また、意見発信
をして、企業への貢献をアピールする姿勢も大事となる。

これらシステム的・発展的観点を促した背景としては、以下の5つがある。
1)エスノグラフィー(臨界調査法)による現場に入り込んだ調査
 質問紙での表面的な質問では詳しいことまで分からない
2)一般システム理論、条件適応理論(仕事の質・相互作用・風土
 加齢)の考え方
3)社会的防衛機制(人と同じように組織にも防衛機制がある)
4)組織の中の人間にフォーカス(環境などの条件ではなく、組織の中の
 行動に注目)
5)フィールドワークを通して、現場を知る